ホーム > 新着情報 > 《2026 新春のご挨拶》正念場

新着情報

2026年01月01日
檀家の皆さまへ

《2026 新春のご挨拶》正念場

鶴林 かくりん 第34号 令和8年御正月発行

『正念場』

風に随(したが)って波の大小あり、薪によって火の高下あり、池に随って蓮の大小あり、雨の大小は瀧による、根ふかければ枝しげし。
源(みなもと)遠ければ流ながしということなり 『報恩抄』

低迷する日本経済、その中でも円安、物価高の流れに一喜一憂しているのが現在の状況である。そんな状況に嘆く人もあれば、歓迎する人もいる。これから景気は上向いていくのか、社会生活はどうなっていくのか、いずれにしても不安定な状態で不安を抱く人も多いはずである。まさに正念場を迎えている。

さて、「正念場」とはおそらく「正念」という仏教の大切な教えに由来しているのでしょう。「正念」とは正しい心の持ち方・意識、迷いなく物事に向き合う意識を意味する。一般的に正しいとは基準・規範・事実にあっているということだが、仏教でいう「正しい」ということは、必ずしも邪正や善悪を基準とするものではなく、迷いやこだわりから離れなすべきことを行うことを示している。

冒頭の『報恩抄』の一節はすべてのものごとには因果関係があることの例として示されているが、仏教の根本の教えをしっかりとらえていれば、社会も人の生き方も実りのあるものと変わるということではないだろうか。日蓮聖人にとって仏教の根本の教えとはもちろん法華経の教えであった。『報恩抄』は恩師の道善房にあてた文章であるが、仏教の根本の教えへと導いてくれたのが道善房であった。恩師の道善房への感謝と仏の教え対する報恩の思いを述べるために著されたものであった。

今この時代において「正念」すなわち「正しい念(おも)い」をもって世の中のあるべき姿を見つめ、これからの生き方を考える必要がある。

令和8年 元日
日蓮宗本山 池上 大坊 本行寺
住職 中野日演

このページの先頭へ